こんにちは。どちらかというとミソジニスト(女性嫌悪)側の彼女です。
今回、フェミニズムを考える・ジェンダー問題を考えるときに避けては通れない話題書を読んだので書評・感想として残します。
この本を読んだきっかけ
彼氏君が、ジェンダーを考える読書会の課題図書として選んでいたため購入しました。
それに合わせて気になっていたので一緒に読ませてもらいました。
また、本屋に行くたびに表紙が目に入り、話題書として見かけることも多く気になっていました。
作者、チョ・ナムジュさんについて
1978年ソウル生まれ、梨花女子大学社会学科を卒業。2011年、長編小説「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。『82年生まれ、キム・ジヨン』で第41回今日の作家賞を受賞(2017年8月)。大ベストセラーとなる。2018年『彼女の名前は』(タサンチェッパン)、2019年『サハマンション』(民音社)刊行。
韓国の作家のためか、情報が少なく奥付程度の情報になっています...
この、『82年生まれ、キム・ジヨン』がヒットしてからは訪日、訳者の方との対談もされています。
本の内容ざっくり紹介
韓国の「#MeToo」運動の火付け役
主人公、キム・ジヨンは1982年に生まれ、ソウルに住んでいる女性。
元広告代理店に勤務しており、3歳年上の旦那と3歳の娘と暮らしている。
ある日、ジヨンの行動に異変が見られるようになってきた。別人が乗り移ったかのような振る舞いをするようになったのだ。
精神科医が聴取した内容を示す、という体で韓国内で起こっている男尊女卑の現実を示した話題作。
女性として生きる上で、起こってしまった事件や我慢させられた経験を赤裸々に綴ったこの物語。主人公はキム・ジヨンであり、読者であり、この世に存在しているすべての女性なのである。
ということらしいです。
自分の共感した/心に残った話紹介
女遊びをせず、妻を殴らないだけでも大したものだ。これなら良い夫だと本気で思っていた。
古い韓国の価値観が示されるシーンではありますが、妻子の生活を養わずともいい夫と言われているシーンには衝撃がありました。自分に言い聞かせているわけではなく、時代背景的に・周りでの考え方的に、こういった考え方があったのは驚きました。
予備校の名前も知らない男の子にストーカー行為をされ、傷ついたのに父親に叱られた。
この件については韓国の少し昔の話なのか、今でも問題視されているところなのか難しいと思いました。例えば、これは日本でも痴漢が発生した際に周囲からの注意として「そそるような服装をしていたのではないか」と責められることに類似しているように感じました。
女があんまり賢いと、会社で持て余すんだよ。
もう完全なる性差別です。現代社会の中で、少しずつ男女間の差別を是正しようとしている中でも、率直で衝撃的で何も変えられないような無力感を感じるシーンでした。
それで、あなたが失うものは何なの?
妊娠に際し、女性が昇進や夢、自由などを諦め、失うのに対し、男性は扶養の義務などの負担が増えるだけ、という現実があります。
実際に感じていたとはいえ、物語でこういったセリフになると刺さりました。
感想
話しとしては結構シーンが変わるため、フェミニズムの問題提起本として読むには個人の体験が多く、小説としては話のゴールがないという本でした。何とも言えない...。
1つ1つの考え方については深く考えさせられることも多く、読了後の満足感は大きな本でした。
特にフェミニズムを考えるときに、女性として生きることを考えるときにちょうどいい本だと思いました。
オススメな人
・男女差別について考えたい人
→実際の事案のようなシーンに出会うことが出来ます。
・女性の理不尽さを言語化したい人
→理不尽な目にあったジヨンが、どのように考えているのかを言語化し、理解することが出来ます。
・フェミニズムについて考えたい人
→考える問題提起にちょうど良い本でした。
以上、実際に読んでみてももにゃっとした違和感を抱かずにはいられなかった彼女でした!
確かに性差による問題は消えないけれど、うーん...